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スマートアプリケーション: 状況に応じた知見を提供する

すでに確立された産業に風穴を開けて進出している企業には、いくつかの共通点が見出せます。最も重要な点は、これらの企業は総じて顧客やユーザーの状況に応じた知見を提供することに長じており、スマートアプリケーション内の諸機能を通じて、データ駆動でアクション可能な情報を提供しています。スマートアプリケーションの先駆けはウェブ企業ですが、現在ではあらゆる産業の企業にとって重要なものとなっており、パーソナライズされたソフトウェアベースのエクスペリエンスをどれくらいうまく提供するかが、製品やサービスの品質と同じくらいに、競争していく上での基礎となっています。御社は今後、どのように競争していきますか?


スマートアプリケーションとは

スマートアプリケーションとは、データ駆動でアクション可能な知見を、ユーザーエクスペリエンスへと具体化するアプリケーションです。知見は、希望するタスクやアクションをより効率的に完遂することを可能にするアプリケーション機能として、状況に応じて提供されます。多くの場合、推奨、見積もり、次のアクションの提案といった形をとります。スマートアプリケーションの対象は、たいてい消費者か従業員ですが、場合によっては、「ユーザー」が人間ではなく、マシンやシステムであることもあります。そのような場合、スマートアプリケーションは業務プロセスや運用プロセスをデータ駆動のインサイトに基づいて自動化します。

たとえば、小売業向けのスマートアプリケーションは、顧客の購買行動の分析に基づいて商品を推奨します。また物流アプリケーションは、商品や製品の配達時刻をデータに基づいて予測します。医療向けスマートアプリケーションは、患者のデータや研究データの分析に基づき、診断や処置方法を医師に助言します。


スマートアプリケーションが重要である理由

知見を実用化するスマートアプリケーション

データサイエンス機能がいかに効果的でも、それらを実用化し、それに基づいて行動しなければ価値はありません。スマートアプリケーションは、ユーザーやシステムの状況に応じた知見を提供するので、状況に応じた行動を取ることができます。

顧客エクスペリエンスのパーソナライズ

今日の顧客は、産業に関わらず、自分がやり取りする企業や組織に個人として扱われることを期待します。個々の状況に合わせた知見を提供することにより、スマートアプリケーションはユーザーエクスペリエンスをパーソナライズし、顧客忠誠度を高め、顧客離れを低減します。

顧客とのやり取りの最適化

個々の状況に合わせた知見を提供するスマートアプリケーションにより、企業は顧客やユーザーを特定の行動を取るよう促すことができます。これにより、企業は戦術的、戦略的両方の面から事業目標を達成できます。

業務効率の向上

マシントゥマシンIoTアプリケーションは、イベント駆動アーキテクチャと連携しながら、リアルタイムの知見に基づき、業務プロセスをインテリジェントに自動化することで、企業の効率性を向上させます。

新しいビジネスモデルの実現

スマートアプリケーションにより、小売、金融サービス、輸送といった従来型産業の企業も、ソフトウェア、データ、および予測的知見に基づく新しいビジネスモデルを構築できます。



「我々は、来る2年から5年の間に、スマートアプリ戦略を導入するB2CおよびB2B2C企業が増えてくると予想しています。2018年までに、世界のトップ200社のほとんどが、インテリジェントアプリを活用し、ビッグデータのツールキット一式、ならびに分析ツールを用いて、製品やサービスに磨きをかけ、顧客エクスペリエンスを向上させるようになることでしょう。」

Gartner
Top 10 Strategic Technology Trends for 2017(2017年戦略的テクノロジートレンドトップ10)



スマートアプリケーションを検討する際の 考慮事項

デジタル経済の中で効果的に競争していく上でスマートアプリケーションは不可欠ですが、これを用いるには、ほとんどの企業でソフトウェアの開発、デプロイ、および管理方法を再考する必要があります。話を進める前に、下記の事柄について検討してください。


会社に確固としたデータサイエンスプラクティスが導入されているか

スマートアプリケーションをスマート足らしめているのは、データ駆動型でアクション可能な知見です。大量のデータに隠されたアクション可能な知見を発見するための確固としたデータサイエンスプラクティスが導入されていることが、スマートアプリケーションの成功の前提条件です。

開発者たちはアジャイル方法論を受け入れているか

スマートアプリケーションは、その性質上、静的ではなく動的なものです。新しい機能による継続的なアップデートが必要で、開発者は迅速かつ頻繁にコードを納品しなければなりません。つまり、開発者はアジャイル方法論やクラウドネイティブなマイクロサービスアーキテクチャを受け入れる必要があります。

データサイエンティストたちはアジャイルを受け入れているか

アジャイルは、開発者だけ関係するものではありません。データサイエンティストもまた、スマートアプリケーションを支える分析をアジャイルアプローチで行う必要があります。データサイエンスは反復的な作業です。よってデータサイエンティストはデータの数多くの質問に回答し、アルゴリズムやモデルを日々アップデートする必要があります。

開発者とデータ専門家たちは連携しているか

従来、アプリケーションやソフトウェアの開発者は、データエンジニアやデータサイエンティストと緊密に連携することはありませんでした。スマートアプリケーションの開発と保守をするには、こうした文化的な障壁をなくし、開発者とデータ専門家との間での連携を可能にする必要があります。

既存のビジネスモデルを再考する準備ができているか

スマートアプリケーションは、従来のエンタープライズアプリケーションが進化したものではありません。むしろ、革命的な前進です。スマートアプリケーションから最大の価値を引き出すには、企業はビジネスモデルを再考し、デジタル経済の中でソフトウェア、データ、および分析を駆使してお金を稼ぐ新しい方法を試していく必要があります。



スマートアプリケーションと従来のエンタープライズアプリケーションとの比較
スマートアプリケーション
従来のエンタープライズアプリケーション
データ駆動。 アクション可能な知見を導く大規模なデータサイエンスと機械学習が、スマートアプリケーションの活力源である。 データに対して盲目。 従来のエンタープライズアプリケーションのほとんどは、分析システムからのアウトプットを取り込み、活用するように設計されていない。
状況に応じた知見を提供する。 スマートアプリケーションは、ユーザーエクスペリエンスの状況に応じてパーソナライズされた知見をシームレスに提示し、アクションを可能にする。 1つのサイズですべてに対応。 従来のエンタープライズアプリケーションは、すべてのユーザーに類似したビューや機能を提供し、カスタマイズ性能は限定的である。
動的で進化する。 開発者とデータサイエンティストは、新しいデータ、知見、およびユーザーフィードバックに基づいて、継続的にスマートアプリケーションを進化させる。 比較的静的。 いったん運用されると、従来のエンタープライズアプリケーションでは、新しいデータ、インサイト、またはユーザーフィードバックを考慮したアップデートはめったに行われない。
ゆるく連結されたアーキテクチャ。 スマートアプリケーションは、継続的な進化をサポートするため、ゆるく連結された、マイクロサービスベースのアーキテクチャを必要とする。 モノリシックアーキテクチャ。 従来のエンタープライズアプリケーションはモノリシック設計であるため、各コンポーネントは高度に相互依存しており、変更の実行が難しい。


VMwareと顧客のスマートアプリケーション実施例

輸送

輸送および物流企業は、スマートアプリケーションを通じて、一般顧客および企業顧客の両方に対して正確な予想配達時刻を知らせています。

小売

小売業者は、コンシューマ用スマートアプリケーションで買い物客に関連商品情報やターゲットを絞った割引情報などを提供しています。

銀行

銀行は、スマートアプリケーションを通じて、金融サービス顧客に向けてパーソナライズされた投資案内や関連活動を展開しています。

コネクテッドカー

自動車メーカーは、スマートアプリケーションを使用して、ドライバーに向けて交通アラート情報を提供したり、予防的メンテナンスの提案を行ったりしています。

製造

メーカーは、スマートアプリケーションを使用して、作業プロセスをインテリジェントに自動化しています。



VMwareのスマートアプリケーション

VMwareは、大規模にスマートアプリケーションをサポートするために必要な最新のクラウドネイティブプラットフォームとデータ分析技術を提供します。VMwareはまた、説得力がありダイナミックなスマートアプリケーションの開発に必要なアジャイルアプリケーション開発やデータサイエンス方法論を導入する企業を手助けします。

たとえば、VMwareは次のような場面でお役に立ちます。

継続的デリバリに対応可能なクラウドネイティブプラットフォームへの移行

分析及びデータサイエンスのための最新データテクノロジーの採用

データ駆動でマイクロサービスベースのスマートアプリケーションの開発



お客様事例
ある金融仲介企業とVMwareは、ユーザーが取引に関してより的確に意思決定できるよう、リアルタイム市場データ分析機能を組み込んだスマートアプリケーションを開発しました。
ある多国籍輸送会社とVMwareは、小包の配達時刻をリアルタイムで予測する顧客向けスマートアプリケーションを提供できるようになりました。
米国のある大規模大学とVMwareは、学生に成績向上のため、または落第防止のための助言をするスマートアプリを開発しました。